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2011.03.11 GDC2011にて行われたディレクターSWERYの講演内容を公開!1

Game Design in the Coffee.
~SWERYによる愛すべきゲームデザイン~ 1

Game Developers Conference 2011において、2011年3月3日(木)に
アクセスゲームズディレクターSWERYが行ったセッションの内容を公開します!

オープニング

皆さん、こんばんは。アクセスゲームズのSWERYです。

昨年のちょうど今頃に北米で発売された「Deadly Premonition(以下DP)」という作品の
ディレクターとシナリオ執筆などなどを担当させていただいたクリエイターです。

このような場で話す事ができて、非常に光栄に思います。
まず最初に集まってくださった皆様、そしてこのような機会を下さった関係各位にお礼申し上げます。
ありがとうございます!ビデオにコメントしてくれた皆さんもありがとう!

さて、本日は今まで僕自身がゲーム制作を通じて身につけてきた、
ゲームシナリオとゲームデザインの秘訣を、ほんの少しだけここでお話できればと思います。

Point 01:ゲームを遊んでいない時、ふと思い出すゲームを作るには?

DPでは、モニターの前にいるプレイヤーとゲーム画面の中の主人公のシンクロ率が高くなるよう、
いくつかの実験的な試みをしてみました。それは生理現象や感情操作のようなものでした。

(1) 主人公の行動がタバコを吸うという欲求がTVの前のプレイヤーの伝染する

タバコを吸う人は解ると思いますが、DPを遊んだ多くの人はヨークがタバコを吸うシーンを見ると
タバコを吸いたくなると言います。それが影響するだけ多くのシーンをゲームに入れる事で、
ゲームをしているプレイヤーに影響を与えている一つの例です。

(2) タバコと同じく睡眠や食事、髭を剃る(身だしなみ)も伝染する

同じように、DPには睡眠・空腹・髭が伸びる・臭くなってハエが飛ぶ...などの要素があって、
これらもゲームの外に影響します。眠るシーンをみて眠くなるという意味ではなく、そろそろ寝なきゃ・・・
と思い出すと言う感じでしょうか。食べなきゃも同じです。で、逆に髭を剃ったり眠ったりするときに
ゲームを思い出す。

(3) 『コーヒー占い』や『映画のシークエンス』はゲームをプレイしていない時にも
影響させることに成功した

僕は日常の「生理現象」や「根底の欲求」をゲームに取り入れることで、ゲームの世界がゲームの外に
影響すると考えています。そこでDPではもう少し踏み込んで、お遊び的な要素も入れてみました。

「コーヒー占い」と「映画のシークエンス」です。

コーヒー占いを見た人は、コーヒーを飲む時にコーヒーをのぞき込むようになりましたし、映画の
シークエンスではヨークが面白そうに話す映画を見るためにDVDをレンタルしたり、買ったりする人が
出てきました。

また「コーヒー占い」と「映画のシークエンス」は、ゲームをクリアして数ヶ月経った後でも、コーヒーを
飲むときや、ヨークが話していた映画を見たときにゲームを思い出させることに役立っています。

このような要素を効果的に入れておくことが、作品の世界を色褪せさせない大事な要素だと言えます。

Point 02:綿密に練り上げたシナリオを素直にプレイしてもらうコツ

(1) 物語に自由度を与えるために既に確立された2つの手法、DPで取り入れられた第3の手法

マルチエンディングは、プレイヤーに分岐という形で選択の自由を与えました。
サイドクエストは、寄り道という形でプレイヤーに自由を与えました。

DPでは、これらに加えて実験的に"タイミングの自由"という物を取り入れています。
タイミングの自由とは、いわば"心変わり"を認めるということ。

プレイヤーがクエストを進めるタイミングを自分で決められるような錯覚を起こさせています。

(2) 通常のクエスト進行 と DPのクエスト進行

クエストを進めているとき、たまに途中でやっぱりやめたい...という感情があると思います。その時に、
やめるのは自由だけど、それはイコール失敗ですよ。と言うのが通常のゲームフローになります。

でも、DPではそれ自体もユーザーの選択であると認め、心変わりに対する分岐をわざわざ
用意しているんです。

それによって、プレイヤーは気持ちよくゲームを中断できますし、
心変わりを許して貰うことで、逆にゲームに対して素直になってくれます。

(3)プレイヤーの"心変わり"に賛同することで自由を強調して"やらされている感"を軽減する

次に先程のフローにもあった通り、クエストを失敗するとプレイヤーはヒントと共に怒られます。
僕が昔に作ったスパイフィクションの時もそうでした。「何やってる!ミッション失敗だ!」と。

ですがDPでは、プレイヤーが心変わりをしたときに、ヨーク捜査官は

「いいね!私もそう思っていたところだよ。」

とその話に乗ってくれます。それでプレイヤーはその選択に対して、安心するというか、
自由なんだということをより感じてくれるわけです。

物語上でも行動を追認することで、自己主張の欲求を完結させる。さらにDPでは物語の
重要な人物から、急がなくてもいい事を教えられます。
物語上でも追認することで、ここまで話してきたプレイヤーの自己主張の欲求が完結するわけです。

(4)プレイヤーが物語に対して協調性を育むプロセス

おさらいをしますが・・・

結果、ゲームに対して協調性が生まれ、徐々にこちらの意図した進行通りに進めて
くれるようになっていきます。

Point 03:オープンフィールドならではのシナリオ構築法

一本道のシナリオ構築 と DPのシナリオ構築

通常は、

シノプシス→プロット→キャラリスト→シナリオ

の流れで作成、
ここまで出来たらマップを作りながらキャラクターの設定を後から作ることも少なくありません。

DPでは

シノプシス→マップ/キャラクターの設定→詳細なマップ/キャラクターの24時間の行動テーブル
→ プロット → シナリオ

という書き方をしました。なぜ?このような作り方をする必要があったのか?

答えは・・・、

オープンフィールド型ゲームでは、物語同様に世界観や舞台、登場人物の設定が重要である
と考えたからです。

DPの企画を立ち上げた時には、参考になるようなオープンフィールドのゲームが少なく、自分たちで
作り方を考える必要がありました。そこで、オープンフィールドでプレイヤーが長く滞在するであろう
舞台が重要と考え、その次にそこで暮らすキャラクターを掘り下げることで、フィールド全体の密度を
保ちたいと考えたわけです。

結果として、それらが決まってから細かいシナリオを書いたので、映画というよりもTVドラマや
漫画雑誌のような作り方が出来ました。