レポート

2010.04.03 Game Developers Conference 2010
皆さん、こんにちは!
アクセスゲームズリードデザイナー西出です。

さてさて、今年も行ってまいりました 「Game Developers Conference 2010」
(以下 GDC2010 または GDC


今年の会場も、例年と同じくアメリカ、サンフランシスコのモスコーニ・センターで 3/9~3/13までの
5日間で行われました。


中には GDC とは何ぞや?という方もいらっしゃるかと思いますので、簡単に説明させていただきます。
【Game Developers Conference】 直訳しますと、「ゲーム開発者会議」 。
その名の通り、ゲーム開発者向けの国際フォーラムです。

著名開発者による講義や開発者同士が意見をぶつけ合うラウンドテーブル形式のセッションが行われたり、
最新ゲームの展覧会があったり、この 1 年間に発売されたゲームソフトのアワードイベントが行われたりという
感じで、毎年約 1 週間に渡り開催されます。
このようにビジネス・アカデミック・フェスティバルが同時に行われるゲーム業界の祭典とも言えるのが GDC です。


現在のゲーム市場は海外のゲームの台頭により、グローバルな目線を持つ事が必須な状況であり、私たち
アクセスゲームズとしましても世界中のゲームについて、しっかり認識を持つために GDC 視察を行っています。

今回はその GDC2010 について実際に会場に足を運んだ私、リードデザイナー西出 と プログラマー M.O
モーションデザイナー I.Hの3 人でレポートをお届けします!

■準備

どーも!モーションデザイナー I.H です!
ここからは、私が GDC2010 の準備~会場到着までの事を簡単に紹介いたします。

まずは、 GDC2010 に参加するにあたり万全な準備で臨もうと、出発前に入念な打ち合わせを行い完璧!な
スケジュールを組みました。
恥ずかしながら私、初の海外ということもあったので、万全に準備しないと不安でしょうがなかったもので...。

受けたいセッションのタイムスケジュール。朝からサミットやセッションの予定がびっちり!1週間と長い様に感じますがやることはギッチギチです。

こちらは、出張の全体スケジュール。
どこかで、サンフランシスコの街も満喫したいなぁ。

 

実際に現地に行ってみるとあっという間の 1 週間でした。
ただし、事前に用意していたスケジュールは、しっかりと余すことなくこなしてきましたよ。
(入念な打ち合わせのおかげです)

■会場

例年 GDC が開催されるのがモスコーニ・センターです。
今回はモスコーニ・センターのノースホールとサウスホールが使用されていました。
それぞれのホールにセッションルームがあり、両方でセッション等が行われます。

また、売店でゲーム開発に関する資料や参考書が買えたり、小規模なゲーム展示ブースがいくつもあったりして、
空き時間にはプレイしたりも出来ました。
地下には、フードコートもあり、来場者のちょっとした憩いの場にもなっています。

ノースホール。
1Fは入場登録の受付のみになっていて、初日は皆ここに向かいました。

サウスホール。
こちらの1Fにはゲーム展示等あって、開催期間はずっと賑やかでした。ガラス張りになっているので外からも盛り上がりが分かります。

ノースホールとサウスホールの間には、 カラフルな旗がなびいており、来場者を歓迎してくれます。

 

 


来場者数は過去最高の 1万8250 人。( UBM TechWeb Game Network 発表) 私がざっと見まわした
感じでも、かなりの人が集まってきているのが分かりました。
人気の高いセッション等は、始まる前に会場に長い列が出来る程の盛況ぶりです。
中にはゲーム開発者以外にも、パブリッシャー、報道関係、学生等も見受けられ、 GDC への注目が
各方面で年々高まってきているのかなと思いました。

しかし、会場の規模自体は縮小されていたようで、前回まで使用されていたモスコーニ・センター
(ウェストホール)は今回は使用されていませんでした。

また、残念なことにランチの配給が無くなっていました...。
前回視察したメンバーからランチの話を聞いていたので、少しガッカリ。

入場登録の様子。

初日の朝はGDC2010のPASSの手続きをする人達でごったがえしていました。

会場内の様子。
セッション待ちの人達がひしめきあっていて皆思い思いに過ごしている感じ。

小規模なゲーム展示のブース等もあって、待ち時間にプレイしている人達もいます。



■サミットとセッション

ここからは私、 GDC1 回目、英会話能力はおぼつかないが、いつも気合いでなんとかする
プログラマ M.O が報告いたしますっ!

1 日目と 2 日目は各種サミット、チュートリアルが行われ、
3 日目から最終日 5 日目までの 3 日間は各種セッションが行われました。
これらの内容はレクチャーだけではなく、各種テーマに沿ったラウンドテーブルや、班分けしたメンバーとの
ディスカッションがあったりと、私の様な英会話スキルが低い人にはハラハラドキドキなイベントが満載です。

セッションはオーディオ ビジネス マネジメント ゲームデザイン プロダクション プログラミング ビジュアルアートと
カテゴライズされており、なんと全部で 466 セッションもありました。
複数のセッションが同時に進行するため、 3 人で全てのセッションを受けるのは不可能!という事で
どのセッションを受けようか非常に悩まされました。

まずは、サミットから。
GDC2010 初日ということで気合いも入ります!
今回は Lua スクリプトや物理演算のチュートリアルとの選択に悩みつつも、 AI サミットを選びました。

サミットと言えば首脳会議のような参加者による会議を思い浮かべますが、この AI サミットは、
AI Game Programmers Guild 」として組織化されたゲーム AI 開発者のトップクラス
Nintendo of America のスティーブ・ラビン氏等)が、
各テーマについてレクチャーするといった形式で行われる事が多くありました。

大きなテーマとしましては、ゲーム内容にあった AI のつくり方という事で、そのケーススタディーが紹介されるなど、
海外の開発者の思考を知ることができました。また、開発中に起こった AI に関するバグ事例の紹介もあり、
共感できる内容で楽しみながら有意義な時間を過ごせました。


それぞれの部屋の前のボードに日程が掲載されています。

サミットが行われた部屋に繋がる通路。垂れ幕に部屋番号が記されており、遠くから視認できます。また手前にあるように飲み物が配られていました。

AIサミットのロゴがデカデカとスクリーンに


お次はセッションです。
ジャンルを問わずアニメーションと物理演算、グラフィック、 AI 、サウンド、流体シミュレーション、データの管理など、
いろいろなセッションにチャレンジしました。

各々興味深い内容だったので、全て書きたいところですが、いくつかのセッションの概要を紹介します。

アニメーションと物理演算
 腕や足といった部品単位でアニメーションをかけ合わせる事と、物理演算の結果を反映する事で
 アニメーションのバリエーションが豊富で自然に見える方法が紹介されていました。
 また、別の物理演算の使い方として、接地している足や武器等を所持している手のずれ、
 人体同士の接触を補正する方法がありました。
 この時、かけ合わせる前のアニメーションや、物理処理が行われていない状態が表示され、
 それぞれの機能の働きが視覚的に確認できるようになっていました。
 共感できる内容で楽しみながら有意義な時間を過ごせました。

サウンド
 物理演算とスクリプトによる自動発音システムが、腕の振りの強弱といったバリエーション違いの対応や、
 モーション変更の対応を容易にすることができると紹介されていました。
 また、発音の状況を視覚的に確認できるデバッグ環境と、サウンドデザイナーが定義するスクリプトによって、
 プログラマの手でなくともデバッグが容易にできるようになっていました。

データの管理
 ソーシャルゲーム等のネットワークサービスにおいて、サーバの拡張や統合・分割の管理、
 プレイヤのカスタマイズデータの管理やリアルタイムにおける処理等、
 拡張性が必要な構造に対する仕様と、柔軟な対応を体験談を交えて紹介していました。

それぞれのセッションを聞いている中で、共通した考え方だなと感じたことがあります。
・いかに自動化し、製作コストを下げていくか
・いかに効率の良いデバッグ環境を用意し、他部署と連携していくか
・いかに仕様変更に柔軟に対応していくか

これらの事は、プログラマとして当たり前の事なのですが、再認識させられドキッとする場面も。
こういった「基本的だけど重要」といったことは、実務が多忙になっている時に見えなくなってしまう事があり、
だからこそ、常に頭に置いておかないといけない重要なことなのだなという事を、改めて認識させられました。
この他にも、セッションの中では実際にあった失敗談や面白いバグ映像が流れ、思わず嫌な汗がでたり、
笑ってしまったりとドキドキしつつ、気を付けねばと再認識した次第です。

その他にも・・・、
シミュレーションゲームの父と言われているシド・マイヤー氏による、
The Psychology of Game Design: Everything You Know is Wrong
(ゲームデザインの心理学:我々が知っていることはすべて間違っている)

チョイスアワード(後述)で 5 冠を達成した「アンチャーテッド 2 」の開発会社である Naughty Dog
副リードデザイナーを務めるリチャード・レマーチャンド氏による、
Among Friends - An Uncharted 2: Among Thieves Post Mortem
(仲間と共に - アンチャーテッド 2 の事後検証)

メトロイドシリーズ、ワリオシリーズの「坂本賀勇氏」による、
From Metroid to Tomodachi Collection to WarioWare:Different Approaches for
Different Audiences

(『メトロイド』から『トモダチコレクション』、そして『メイド イン ワリオ』まで:異なるアプローチを異なる観客層へ)

等、ゲームデザインやマネジメントに関するセッションもありました。

今年は特にソーシャルゲーム関連のものが多くあり、この分野が成長中で大変注目されているのだと肌で
感じられました。また、プログラミングのセッションでは、アニメーションと物理演算の連動について講義されている
ものがいくつかあり、やはり、どの開発会社もこの分野には力を入れているのだなぁ、という印象です。
しかし、一方では帰国後の自分の姿を想像して胃を痛めていたんですけどね・・・(汗

これがセッション中の様子。こんな雰囲気で、セッションが行われます。

このスクリーンに各種説明が表示されます。

 



■その他のお楽しみ

さて、ここからはサミットやセッションとはまた違った魅力のある、
3 日目に行われたアワードとゲーム展覧会について報告致します。

アワードはインディペンデントゲームズフェスティバルとゲームデベロッパーズチョイスアワードの 2 部構成で
行われていました。映画で言うアカデミー賞の様なもので、 2009 年発売のノミネートされたゲームの中から
各種賞が贈られるイベントです。
司会者のジョーク、受賞者の感謝の言葉、有名開発者のコメント、ノミネート作品のパロディ CM 、そして賞の
発表のたびに、拍手、爆笑、スタンディングオベーションが起こり、会場は熱気の渦に巻き込まれていました。

この感情の爆発といったような楽しい空間は、日本では体験したことのないものでした。

今回は「 Uncharted 2: Among Thieves 」が、なんと Game of the Year を含む 5 部門を受賞!


今回のノミネート作品が掲載。
ここにタイトルが載るように私たちも頑張らねば!

会場は異様な熱気に包まれてます。
この高揚感はたまりません!

ノミネート作品は常にステージの巨大スクリーンで紹介され、各発表を盛り上げます。

授賞式終了後の様子
ひと ヒト 人 ・・・


ゲーム展覧会は、セッションやサミットが目的の人だけではなく、展覧会用のパスを購入すれば、
見て回ることができます。

東京ゲームショウや E3 といったゲームショウと比べれば規模は小さいですが、それでも十分に広く、
プレイアブルなゲームが展示されており、新しいゲームを体験できました。また、ミドルウェアの説明ブース、
商談用のビジネスブース等もあります。

他のゲームショウと違い GDC ならではと言えるものとして、開発者向けの書籍系のブースがあったり、
各種ゲームエンジンの展示・技術的な説明が行われたりしていました。

展覧会会場は各社ブースに分かれてます。


インディペンデントゲームズフェスティバルにノミネートされたゲームも遊べました。


これは球体の中に入って360度のバーチャルゲームが体験できるマシン。

モーションキャプチャーのパフォーマンス従来よりリアルタイム性が増しています。



■最後に

モーションデザイナー I.H プログラマ M.O による GDC2010 レポートはいかがだったでしょうか?
今回の GDC もハードスケジュールで、事前準備を含めると 1 ヵ月程のプロジェクトとなり、いろいろと苦労は
ありましたが、その分新しい技術に触れられた経験が明日に繋がる糧となって、私たちにはね返ってきた
実感があります。

アクセスゲームズとしては 4 回目の GDC を終え、今回も良い「刺激」を与えてもらいました。
また、セッションの内容も貴重な時間でしたが、世界の技術者が一堂に会するこの空間に足を踏み入れる事
自体が大きな刺激となり、今私たちがこの業界にいる意味と希望を与えてくれる場でもありました。

GDC に参加する大きな意味は、日本からの視点だけでなく、世界からの視点へと視野を広げてくれる事に
あります。また、ゲームが好きだから作っているだけでなく、数あるエンターテインメントの一つとして、ゲーム業界の
未来をどう切り開くかを真剣に考えさせてくれる場でもあったと思います。

今回のレポートはこれまで。

以上、リードデザイナーの西出でした。


GDC 出張番外編」 もお楽しみください!