レポート

2011.03.15 Game Developers Conference 2011
こんにちは!デザイナー(USAではアーティストと呼ばれます)のH.Iです!
アクセスゲームズでは2007年から開始されたGDC視察、今年も行ってまいりました!

毎年数名で視察を行っているこのビッグイベントですが僕は
今回が初めて!海外出張も初めて!ということで、元気よく報告させていただきます!

GDC2011はサンフランシスコ、モスコーニセンターで2月28日~3月4日の5日間で行われました。

Game Developers Conference、略してGDCですが、これはゲーム開発者が一堂に集まって
技術や考え方などの講演を行ったり、ビジネスのやり方などを共有したり、
開発者同士で交流を深めたりする、年に一度行われている世界規模のイベントです。

講演会があったり、意見をぶつけ合ういわゆるラウンドテーブルがあったり
EXPOという形で最新ゲームの紹介やミドルウェアの紹介などをしていたり
今年発売されたゲームのアワードイベントなどが開催されていたりと
とにかく大きなイベントなのです!!

そして!!
今年!!
アクセスゲームズとしてはいつものGDCではないのです!
とっても意味のある今年のGDCそれは・・・

弊社開発の『Deadly Premonition(日本語版はRed Seeds Profile)』ディレクター SWERYの講演があったのです!

GDC講演は主催者側からオファーがないと行えないとってもとっても光栄なこと!
アクセスゲームズとしては世界規模の講演は初めてなので、大変な快挙です!!

このレポートは準備と会場の模様、セッション(講演)、そしてSWERYセッションの模様を
デザイナーH.IとプログラマーT.Yでお伝えしていきます!!    

■準備
今回、はSWERY講演もあって準備万端の状態で挑みたいという気持ちから打ち合わせを行いました。
航空券の予約、ホテルの予約、セッションスケジュール、全体スケジュール・・・etc

僕は初出張で右も左もわからない状態でしたが、この一大イベントに挑むために完璧な
準備を行うべく奔走しました。    

個人のセッションスケジュール
朝からびっちり!

SWERYの講演素材の作成スケジュール
動画やスライドの準備を行いました

 

海外出張もそうですが、GDC自体が初めてなのでまず、GDCとは?
何を用意するべき?、どういう講演があるの?といった基本的なことから調べ始めました。
調べれば調べるほどGDCの規模の大きさがわかってきて凄いところに行くんだなと改めて認識しました。


移動は関西国際空港から9時間の空の旅です。
飛行機に乗っている間はいつも以上に時間の流れを遅く感じ、予習をしたり、映画を見たり、寝たりと
時間をなんとかつぶそうとしていました。プログラマーのT.Yさんは初めてだからもしかして緊張してたりして!
とか思って隣を見たら爆睡でした。それを見た僕もとりあえず次の日に備えて寝ました。

サンフランシスコ国際空港に着いた我々はまずレンタカーを借り、一路ホテルへ。
ホテルに着いて荷物を整理したらサンフランシスコの街並みを早速市場視察しました!

市場視察の内容は番外編にてお楽しみください!
二日間の市場視察を終え、いよいよGDC会場へ。

Let'sGO!GO!    

■会場の模様
ここがモスコーニ・センターです。    

上の写真はノースホール
どこのホールもセッション前は人だらけでした

 

 


サンフランシスコのユニオンスクエアガーデン近くにある大きな会場で
今年はノースホール、サウスホール、ウェストホールの三つの会場が使われていました。

昨年に比べて規模を拡大しており、最終的に今年の来場者数は
19,000人規模(GDCオフィシャル発表)で過去最高の人数となったようです。    

モスコーニ・センター内の写真
やっぱり人が多い

みなさん会場内でノートPCを
使って準備されてます

セッション、サミットの一日のスケジュール
ここで自分が受ける講演を再確認します


■サミットとセッション
5日間のGDC期間中、最初の2日間がサミット/チュートリアル、残りの3日間が各種セッションとなっておりました。
サミットはAI、エデュケーション(教育という意味)、ローカライゼーション、スマートフォン、インディペンデントゲームズ
ソーシャル&オンラインゲームズ、シリアスゲームズの7種類からなっており、僕が選んだのはローカライゼーション
とスマートフォンのサミットでした。

まずはサミットから
ローカライゼーションとはいわゆるゲームの翻訳を意味しており、開発したゲームを翻訳し他国で発売することを
指します。
弊社開発タイトルですと日本語版の『Red Seeds Profile』が、海外ローカライズ版では『Deadly Premonition』と
なっており、タイトルや言語が翻訳され、アメリカ、ヨーロッパで発売されております。
このサミットではどうやればうまくローカライゼーションができて、大きなビジネスに繋がるかを講演しておりました。

スマートフォンでは、2011年に入ってから急速にスマートフォンの使用率が増え始めたからか、
サミットの入場者数がとても多かったです。
iPadが如何にゲーム開発に向いてるかや、iPhoneゲームが如何に作りやすいかの説明がなされておりました。
ある方が仰っていた「Your business is in the pocket」(あなたのビジネスはポケットの中にある)
という言葉が印象に残っております。


セッションについては私、デザイナーですのでヴィジュアルアート関係を中心にセッションを受けてきました。
受けてきたセッションの内容はミドルウェアやライティング、デザイン工数を減らす有益な方法などで
プログラムでライティングマップを生成し、リアルタイムにそれをキャラ、もしくは背景に張り付けたり
LOD(Level of Detail:カメラからの距離によってモデルなどのディテールを下げていく手法)モデルを自動で
生成することでデザイン工数を減らすといった講演を聞きました。
印象に残ったことはデザイナーとプログラマーは切っても切れない存在で
トライアンドエラーを繰り返しながら一緒に作業をしていかなければならいことと、ミドルウェアの重要性でした。
ライティングマップ生成にしても、LOD自動生成にしても、どちらもデザイナーとプログラマー両方の
観点が必要で、デザイナーはプログラムの知識が、プログラマーはデザインの知識がある程度ないと
できないなと思いました。

では続きまして、プログラマーのT.Yさん、どうぞ!

■SWERYセッション 「Game Design in the Coffee 」
皆さん、こんにちは。
アクセスゲームズのプログラマーT.Yです。

今年度のGDCの中で弊社にとって、最も重要な項目である弊社ディレクターSWERYのセッションする
「Game Design in the Coffee. Lovable Game Design by SWERY」
こちらをレポートさせていただきたいと思います。


まずはスピーカーラウンジでセッション内容の最終確認や予行演習を進めます。

が!
いきなり問題発生!
当初、セッションはSWERYとセッション内容を翻訳していただいたカタリストラボの堀江様の2人で行う予定でした・・・。

しかしセッションを行うにあたり、スライド投影用のPCを操作する人手が足りないことが判明!
そこで、別の場所でセッションを受けていた岡本を緊急招集し、3名によるセッションに変更となりました。

なんとか最終確認を終え、セッション開始30分前に会場入り。
セッションを行う3名はセッション準備のためステージへ、我々もセッションを記録するための準備を行います。


実は数日前、セッションを行う会場を事前に見物させていただけないかと現地スタッフにお願いし、
関係者2名だけならという事で確認していたのですが・・・。その時も『大きいステージでチビりそう』(SWERY談)になったという
感想だったので、大きいとは思っていたのですが・・・、なんとそこはさすがアメリカ!

当初は200~250席程度の大きさでしたが、当日現地に向かうと約800人程が
入るように会場の仕切りが変更されており、会場の中でも一、二位を争うほどの規模でした。

会場の模様。この広い会場で講演
するのかと思うとこっちも緊張します!

開始時にはこんなに人がいっぱい

 

私はビデオ担当だったため、ビデオカメラの設置先を探すのですがそもそも、

「ビデオカメラで撮影しても良いのか?」

ということで、デザイナーのH.I君にスタッフの方にたどたどしい英語で確認してもらったところ、
ビデオの撮影はダメとの事で、残念ながら動画撮影は不可能という結果に。

そんなやりとりをしている間にも、時間は着々とやってきて、
どんどん人も集まってきながら、早くも講演の開始時間になりました。

出だしは、ゲーム開発者やライターなど著名な方々が本作について絶賛する言葉の数々を語っていく動画から始まるのですが・・・、
またもやトラブル発生!

なんと、色味がおかしい。 画面が紫っぽい事になっています。
スタッフの方によってすぐに解消したのですが、なぜか今度は動画がスロー再生に。
PC操作担当の岡本が焦る中、SWERY自ら冷静にササッとPCを操作して直してました。

開始直後で、スクリーンがこんなことに

SWERY自らPCを操作

 

そんなこんなで、トラブルから始まりましたが、何とか無事に動画も終わり、
ここで、挨拶が行われましたが、SWERY自ら英語で挨拶を行いました。

さすがにあんまり英語が話せないというだけあって、英語はあくまで挨拶だけにとどまり、
「Can I Speak Japanese?」と確認した上で日本語で講演が始まります。

大まかな7つのトピックの説明を行い、そこから1トピックずつ解説していくとい流れで話は進んで行きます。

順調に進んでいきつつ、トピックが3つめに達するタイミングでコーヒータイム。
用意していたコーヒーメーカーからできあがったコーヒーを手に取り、アピール。
(『Deadly Premonition』にとってコーヒーは欠かせない要素ですから)
よく見ると、なんとカップが先日視察に向かった先のアルカトラズのおみやげのカップ!!
なんと芸が細かいこと!!


手に持ったカップを指しながらアルカトラズのカップですというと
会場の人々も大うけで、どわっと場が盛り上がりました。
アルカトラズは観光地としても有名で、日本で言うと東京タワーのようなもの。
セッション講演があるのにアルカトラズにちゃっかり行ってきているあたりが可笑しかったんじゃないでしょうか。

アルカトラズカップを持っている様子


 

場を盛り上げつつ講演は進んでいき、次の盛り上がりタイミングは、
キャラクターの音声収録についてのタイトルに達した所です。

スライドに使っている素材にも実は小ネタが仕込んであります、キャラクターの音声収録のタイトルの所で
使っている絵ですが、某有名なロックバンドのCDのジャケットを『Deadly Premonition』に登場するキャラで
パロディにしていた絵を使っていたのです。
会場に来られている方には、すぐに分かってもらえたようで、楽しんでもらえたようです。
これは後日、岡本が語っていたことですが、「ここまで楽しんでもらえるとは思っていなかった」とのこと。

そんな具合でいよいよ最後のトピック、「最も大切な事 それは・・・」

あなたの思いついたアイデアは何でもすぐに使いましょう

ということでした。
まず、スライドには『Deadly Premonition』の全体地図が映し出されました。
そこでSWERYが、「実はこの全体地図はウィリーになっているんです」と説明した後
全体地図がウィリーに変化しました!
これにも会場の人は驚いたようで非常に好印象でした。

グリーンベイルの地図

スライドの地図からウィリーが!!

某CDジャケットのパロディ(分かるかな?)

順調に講演も終わり、最後の質問コーナーに。

質問コーナーとはその名の通り、講演の後に疑問に感じたことを質問として問いかけて、
疑問を解決するコーナーですが、様々な質問が飛び交います。

「好きなゲームは?」とか「続編ださないの?」とか「ゲーム中の○○はどういう設定なんですか?」など。

華麗に答えていくSWERYですが、ここで難題が!

「あなたにとって、ナレーションは何?」

これは、複雑に考えてしまったのか、さすがのSWERYも無言に・・・。
最終的には、「ゲームとの親密性を高める物」としてまとめていました。

こういったやりとりで、時間の方がリミットに達してしまい、そこで講演は終了に。
終わった後には、来られていた方々にはこのセッションがより記憶に残るようなちょっとしたプレゼントを配りました。

終わった後に伺った話では、
自作の「FK」Tシャツを着て講演に来てくれた方もいたとか。

他にも、アイデア話の時のウィリーの絵に変わる部分で、
「ウィリーに変わった後に地図の絵に戻ってほしかった。ウィリーの絵に本当になっていたかの確認ができなかった」
という指摘意見もありました。


今回来場して頂いた方々は、この講演を楽しみに来られていると思いますが、その期待に添えることができ、楽しんで頂けたかなと感じました。
講義中も皆さん真剣に聞いていただき、個々の小ネタも分かっていただけたようで、とても嬉しく思います。

また、地図の指摘のにしてもこんな細かいところを
突っ込んでもらえた事から、しっかり見ていただけたのだと思います。

セッションの詳しい内容はこちらで公開中!

■その他
次はGDCアワード2011をご紹介したいと思います。
GDCアワードとは、その年に発売されたゲームを紹介し、いわゆる映画のアカデミー賞みたいに盛り上げるイベントです。

このGDCアワード2011では様々な賞がありましたが、以下が賞とその受賞者をまとめたものです。

Ambassador Award(大使賞)........................... ティム・ブレングル氏とイアン・マンケンジー氏
Pioneer Award(先駆者賞).............................. 鈴木裕氏(シェンムー作った人)
Lifetime Achievement(生涯功労賞).................. ピーター・モリニュー氏(ポピュラス作った人)
Best Downloadable Game(ダウンロードゲーム賞)......Minecraft(マインクラフト) 開発:Mojang
Best Audio(サウンド賞)....................................レッド・デッド・リデンプション 開発:Rockstar Games
Best Handheld Game(最優秀携帯ゲーム)............ Cut the Rope 開発:ZeptoLab
Innovation Award(イノベーション賞)..................... Minecraft(マインクラフト) 開発:Mojang
Best Debut Game(新規タイトル賞).....................Minecraft(マインクラフト) 開発:Mojang
Best Visual Arts(ビジュアル賞)...........................Limbo 開発:Playdead
Best Technology(テクノロジー賞)........................レッド・デッド・リデンプション 開発:Rockstar Games
Best Game Design(ゲームデザイン賞).................. レッド・デッド・リデンプション 開発:Rockstar Games
Best Writing(脚本賞).................................... マスエフェクト2 開発:BioWare
そして最後のもっとも栄えある賞であるGame of the Year(最優秀賞)を受賞したのが

レッド・デッド・リデンプション!!


表を見てみると、Game of the Yearを受賞したレッド・デッド・リデンプションが合計四部門を受賞しており、
Minecraft(マインクラフト)が三部門を受賞するという結果になりました。

パイオニア賞にはシェンムーの開発者である鈴木裕氏が選ばれたり、
ポピュラスなどの神の視点で遊べる、いわゆるゴッドゲームの生みの親として有名なピーター・モリニュー氏が
生涯功労賞に選ばれるなど、本人が出てきて一言挨拶をすると、異常なほど盛り上がっていました。

アワード会場の全体の雰囲気
異常な盛り上がりを見せていました

壇上で司会者が何やら話していますが
全て英語で聞き取れません・・・


会場の熱気の熱気がすごい!!
「Best Student Game」賞の模様

数多くのゲームがノミネートされていました
中には日本ではあまり有名じゃないものも


受賞した人は壇上に上がって一言
中には涙を流しながらコメントする人も




この他にも「MEGA64」と呼ばれる、各賞の発表の間に上映されるゲームのパロディー映像などがありました。
例えば
How Shenmue Was Meant To End (with Yu Suzuki)  鈴木裕の、どのようにしてシェンムーが最終章を迎えたか

といったシェンムーの鈴木裕氏自ら出演されてのパロディー映像や
他にもLimbo(開発:Playdead)やHEAVY RAIN(開発:Quantic dream)といった有名なゲームのパロディー映像もありました。

GDC2011アワードを見て思ったことは、盛り上がり方がすごい!
受賞の模様や、MEGA64のパロディー映像や業界の有名人の登場であったりと、
様々な部分での盛り上がり要素があったと思います。
会場の人たちもすごい熱気で、ものすごい盛り上がりを見せていました。

この会場にいた全ての人たちが、何らかの形でゲーム業界にいる人なんだなと思うと、
海外のゲーム業界の広さや熱意の高さなどが肌に伝わってくる感じがしました。
僕も、この時の会場の雰囲気や、熱意の高さを忘れないようこれからの開発に励んでいこうと思います。

GDCアワード2011の模様が動画であがっておりましたのでよろしければお楽しみください。↓
http://gdc.gamespot.com/video/6301788/?tag=top_stories%3Btitle%3B2



今回は弊社ディレクターSWERYがGDCの講演者ということもあって講演関係者のみが
参加できるパーティーや、SWERYの海外の友人の方々との会食など、普通では行けないところにも
参加してきました。


スピーカーパーティー会場でのSWERY。
遊ぶ時は本気で遊ぶ人でございます


こちらは会食風景
サンフランシスコのレストラン「クラスタシア」

このパーティー会場で、僕は有名な業界人がたくさんいることに気づき、
会場の雰囲気に呑まれてしまいそうになりましたが、何人かの方と交流を深めるために喋ってきました。
つたない英語ではありましたがなんとか会話になり、意思疎通ができたことに感動したと同時に、
話を聞いているとやっぱり海外のゲームクリエイターは元気があるなぁと思いました。
僕と会話したスペインから来られた方はモバイル系ゲームの開発者でプログラマーでした。
初対面の上にろくに会話も通じないのに意気投合してしまい、パーティーを楽しむことができました。

そんな中でふとみると、そこにはSWERYが・・・。
何をしているのかと思い声をかけに行ったら、ものすごい人と会話していました。
某有名冒険アクションアドベンチャーゲームの開発会社社長とか、
某王子様が出るアクションゲームのゲームデザイナーとかなんかもう・・・Legend(伝説)の人じゃないですか!!
そんな中、よく見ると上からぶら下がっている紐がSWERYのメガネと繋がってました・・・。
仕事はもちろん、遊びも真剣にできる、胆の据わった人なんだなと、改めて思いました。

■最後に
GDC2011レポート、いかがでしたか?
今回のGDCはSWERYセッションもあって今までとは状況が少し違っていました。
メンバーも5人と去年より多めで挑み、当日でスケジュール変更があったりと大変なことも
ありましたが、全員の口をそろえた感想は「いい経験になった」や「おもしろかった」でした。
GDCは交流を深めたり、技術を共有する場でもあるのですが、なにより世界のゲームに対する
情熱がひしひしと伝わり、いい刺激になったなと思いました。
業界人じゃないと知り得ない情報や、抱えている問題、その解決方法、海外ゲーム業界の動向など
日本にいるだけは得ることのできない経験をすることができました。
もちろん理解できなかった部分もたくさんありましたが、それでも言えることは、
GDCは参加するべきイベントであり、ものすごい経験をした!ということです。

僕としてもしっかりとGDCに参加した経験を明日の糧とし、次の開発に挑んでいきたいと思います。

以上、デザイナーH.IとプログラマーT.Yによるレポート報告でした。